G7 Foreign Ministers

G7 foreign ministers, pose in a socially distanced manner for a group photo at the Museum of Liverpool, England, Saturday Dec. 11, 2021. (Olivier Douliery/Pool via AP)

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英中部リバプールで先進7カ国(G7)外相会合が開かれた。併せてミャンマーを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の外相らを招いた拡大会合が初めて開催された。

 

拡大会合の議長声明は「自由で開かれたインド太平洋地域の維持に共通の利益」があると確認し、南シナ海情勢について、中国の名指しを避けつつも、埋め立てなどの行為に懸念が示されたと記した。

 

「自由で開かれたインド太平洋」は日米が提唱し、G7各国が賛同する構想だ。インド太平洋の要に位置するASEANとの連携は欠かせない。

 

対面出席したASEANの外相は2人で、他はオンライン出席だった。これを足がかりに「G7+ASEAN」を地域の協力の枠組みと位置づけ、ASEAN会合などの際に定着させたい。

 

中国は11月22日、ASEANとオンライン形式による特別首脳会議を開催し、外交関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすると宣言した。

 

会議は、双方の対話開始30年を記念して開かれ、いつもの李克強首相でなく、習近平国家主席が主催し、ASEAN重視の姿勢を一層、印象づけた。

 

中国は南シナ海で国際法を無視して、人工島の軍事化を進めている。その中国にASEANが取り込まれるのは好ましくない。

 

南シナ海・スプラトリー(中国名・南沙)諸島のウィットサン(中国名・牛軛)礁周辺に停泊する中国船=2021年3月

 

G7外相会合の議長声明は、インフラ開発で途上国に多額の借金を負わせ、債権国として影響力を強める中国に懸念を表明した。

 

ラオスで今月、中国支援の高速鉄道が開通したが、採算に疑問符がついている。G7とASEANとの連携強化は「債務の罠(わな)」から途上国を守ることでもある。

 

林芳正外相は国会出席を優先し、G7会合2日目にあったASEANとの拡大会合のうち最初の協議しか出席せず、帰国した。もっとASEANに寄り添う姿勢を示すべきだった。

 

日本は1978年、ASEANにとって最初の「対話国」になり、多方面の交流を重ねてきたことで、対等なパートナーとして信頼を得ている。G7のうちASEANの声をすくい上げ、代弁しやすいのは日本だ。中国との対立が激化する中、それだけの自覚をもってASEANと向き合う外交が必要である。

 

 

2021年12月14日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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